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書評<改訂新版 新書アフリカ史>


アフリカ大陸の歴史というと、多くは“暗黒の大陸に進出した”ヨーロッパ諸国の目線で書かれたものが多い。ヨーロッパ人によって文明がもたらされ、そして資源や奴隷を収奪したという歴史観だ。だが、紀元前からアフリカでは様々な氏族、部族、王族が立ち上がり、群雄割拠した独自の歴史があった。多くは文字にして残されていない、伝承としての歴史をまとめ、ヨーロッパ人の歴史観とは一線を化した通史解説に本書は挑戦する。

アフリカ大陸のすべて未開拓地で、“文明的に遅れた”黒人が暮らしていたという、暗黒大陸の歴史を覆すエピソードをまとめた歴史書である。一口にアフリカといっても、海岸線、ジャングルの奥地、サバンナなど、様々な環境が共存しており、人々はそうした過酷な大地に適応するように歴史を刻んできた。それをすべてひっくり返すのがヨーロッパ人の到来である。ポルトガル、スペインなど、初期の大航海時代の中心となった国々はまだアフリカ人たちと共存共栄する場面もあったが、やがて産業革命により飛躍的に科学技術を発展させたヨーロッパの国々はアフリカ大陸を蹂躙するようになる。今となっては言語道断の所業であり、現在のアフリカ大陸の政治的・経済的混乱の根本的な要因といえる。それは“勝手に国境線を引いた”といった単純な問題ではない。

また、本書は10数年前に刊行された新書の改訂版で、新章として近年の経済的発展やジェンダーの問題にも触れている。ただし、それは現実とはいえない近代的な価値観でまとめられており、まだまだ人権という概念からは程遠いアフリカの国々の国民あるいは難民が多数存在する。そこはもっと構成を考えるべきであろう。


初版2018/11 講談社/講談社新書

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