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2019.02.18

書評<MP5サブマシンガン>

日本の警察も使用するサブマシンガンとして、知名度の高いH&K MP5サブマシンガン。ハンドガンカートリッジを使いながら精密射撃を可能とし、世界中のローエンフォースメントにて使用されているMP5の構造、バリエーション、開発の歴史、使用部隊など、詳細を明らかにしていく。

ガンオタ、ミリオタには説明の必要もないヘッケラー&コックMP5。とはいえ、長い歴史をもつサブマシンガンなので、知ってるようで整理できていない情報も多い。本書はMP5の構造やサブタイプ、実戦経験などを整理し、理解するのにぴったりである。本来は弾をばらまくサブマシンガンが精密射撃ができる銃として開発された経緯。「世界中で使われる名銃」が初めて名をあげたハイジャック事件の経緯などなど。いわばガンオタの”復習用の参考書”であろうか。
近年、テロリストの重武装化から、AR-15系のアサルトライフルがLEの主要武器になりつつあるが、いわゆる万能の兵器ではない。まだまだMP5が表舞台に立つ事件もあるだろう。そのときのための参考書でもある。

初版/2019/01 並木書房/ソフトカバー

2019.02.17

書評<ファンタジーランド―狂気と幻想のアメリカ500年史>

アメリカ合衆国は、人々がそれぞれに幻想を抱きながら生きる”ファンタジーランド”である。そもそも、移住のごく初期、イングランドからアメリカに渡った人々は独立を尊重するプロテスタントの中でも、特に幻想を抱いた異端宗派の集団だった。また、入植者たちはアメリカには黄金があり、開拓すべき土地があるという幻想を抱いて故郷を離れた。そのような国家の成り立ちから、アメリカは合理主義よりも幻想あるいは反知性主義に傾きがちな国民の集団となり、ネット社会となった昨今、それが極まり、トランプ大統領の誕生を促した。本書はアメリカの歴史がいかに幻想に支配され、強化されてきたかを検証する。

プロテスタントとカトリックの違いは、キリスト教徒以外には分かりにくい。だが、その理解こそがアメリカという国の理解の第一歩である。プロテスタントは誕生した時から精神的に純粋で、分権的で、真実の発見を教会ではなく個人に委ねた。それゆえ、初期に入植したアメリカ人たちは新天地に幻想を抱き、”約束の地”の発展を実現しようとした。欧州では啓蒙主義が発展した時代に、ますますアメリカ人はキリスト教に情熱的になり、原理主義というべき福音主義を生み出した。一方でキリスト教を一種のショービジネスと捉え、信者を獲得してきた側面もある。時代が下ると、そこにラスベガスやディズニーランドといった幻想を産業化したブランドが現れる。アメリカ人は合理主義よりも、幻想と現実を行き来することを選んだのだ。
本書はこうしてアメリカが”ファンタジーランド”と化していく歴史を綴っていく。入植したごく初期から、文明は発展すれど、基本的にはアメリカがプロテスタントの国であり、聖書の国であることを再確認できる。世界を経済と軍事力で支配する大国は、決して合理主義や啓蒙主義が支配する国ではないのだ。アメリカ合衆国の歴史の別の一面を教えてくれる一冊である。

初版2019/01 東洋経済新報社/Kindle本

2019.02.11

書評<エスタブリッシュメント 彼らはこうして富と権力を独占する>

貧富の格差の問題が問われて久しい。それもいわゆる先進国といわれる国家内でのことである。富める者と庶民との格差が広がり、一部の国では不満が爆発しつつある。そんな状況はイギリスもまた同じだ。もともと、強固な階級社会であったイギリスだが、サッチャー首相の改革以後、一般市民とエリート、エスタブリッシュメントとの間に格差が広がっている。国民投票でのEUからの離脱決定は、「とにかくエリートを困らせたい」との庶民の怒りの現れだともいわれる。イギリスのエスタブリッシュメントの実態を、著者が明かしていく。

本作で問われる「エスタブリッシュメント」は、たんに富裕層やエリート官僚のことではない。オックスフォードなど名門大学出身であり、、民間企業の取締役と、政府の要職を”回転ドア”のように行き来するいわばインナーサークルのようなものが存在するのだ。彼らは富裕層の税率や法人税減税をとなえて「小さな政府」を目指す一方で、いざ金融危機となれば、政府の補助金を支出させる。また、マスコミを支配し、彼らの都合の良いように世論を誘導する。陰謀論にも聞こえる「エスタブリッシュメント」の定義だが、著者は実際にエスタブリッシュメントの先兵たる企業家、政治家、マスコミに関わる人々にインタビューし、彼らの言い分とイギリス社会の実態を比較しながら、現代の国民国家の抱える問題を炙り出していく。

行き過ぎた資本主義、自由主義の反動として、トランプ大統領の登場、イタリアの右派政権誕生などの動きにつながっている。ポピュリズムとの指摘はあるが、庶民としては富裕層が痛い目にあうのを見たいのは自然な感情だと思う。オレもそうだ。これらの動きが世界の潮流の変わり目となるのか?しっかり見ていきたい。

初版2018/12 海と月社/ソフトカバー

2019.02.10

HASEGAWA FIGHTER1 Completed

ハセガワ1/72ファイター1、完成しました。
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ファイター1は1983年の映画「クラッシャージョウ」に登場する、小型戦闘機。原作小説の著者である高千穂遥自らが脚本を手掛け、キャラデザインと監督を安彦良和、メカデザインがスタジオぬえと、当時の超一流クリエイターが集った映画は、当時のアニメファンの多くに突き刺ささった伝説の作品。サントラも異例のヒットを記録しています。
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ハセガワ1/72のファイター1はオールニューキット。内部フレームを用いた”ほぼ色プラ”のスナップキットで、本来ならキャノピーのみ(マスキングシール付き)塗装すれば、ほぼ劇中登場のファイター1が出来上がります。
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今回の製作ではオリジナルのカラーで全面塗装。というのも、ガイアノーツの専用カラーがいまいちパステルカラー過ぎて、自分のイメージと違うんですよね。なのでブルーはインディブルーにホワイトを少し足して混色、グレーはクレオスC331シーグレー、ロケットノズルはクレオスのアイアンで塗装。自分なりの宇宙機のイメージを少しだけ足しています。
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映画公開当時はタカラが登場メカをキット化していましたが、いまやコレクターズアイテム。正直、2020年も近い今に新キットが発売されるとは思わず、嬉しくて発売と同時に即製作しました。もうハセガワ様に感謝、感謝です。


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2019.02.03

PHANTOM FG.1(AIRFIX) Completed

エアフィックス1/72ファントムFG.1,、完成しました。
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西側世界に広く制式採用されたF-4ファントムⅡですが、イギリス空海軍に採用されたファントムⅡはロールス・ロイスRB-168スペイにエンジンを換装し、ブリティッシュファントムと呼ばれています。必要な空気量が増大したためにエアインティークが拡大され、それにあわせてショルダーラインが拡大。また、搭載される空母アーク・ロイヤルのサイズに合わせ、レドームが折りたたみ式に、前脚のオレオが二段式になるなど、様々な改良が加えられました。

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エアフィックスの1/72キットは昨年発売の新キット。全面スジボリにリベット。機首を上げたカタパルト離陸状態、レドームと主翼を畳んだ格納状態、飛行状態を再現できる。接着跡が残りがちな胴体背部は別パーツ、などなどパーツ状態では最高のキット。しかし、そのコンバーチブルを再現するためか、表現が大げさで、勘合とディテールの細部は甘く、少々のすり合わせとパテが必要。

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今回の製作では、レドームと主翼を折りたたんだエレベーター移動状態を再現。レドーム周辺はカラー指定がいまいちよく分からないので、目立つ機体内部色で塗装しています。

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塗装はアークロイヤル搭載の892SQを再現。エクストラダークグレーはブルーとホワイトを足して、かなり明るめに仕上げています。デカールは小さなコーションマークまで完璧に再現されていますが、硬いのでマークソフターで充分に馴染ませます。

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このキット、欠点は先に書きましたが、例えばキャノピーなんかも大きな接着面がついた差し込み式だったり、上級者向けというよりはプレイバリュー優先のキットなんですね。なので、あとはアークロイヤルの甲板を追加発売してくれると完璧なんですが(笑)。開発が発表されている1/72バッカニアがどういう方向のパーツ割でどんな表現をするのか、楽しみですね。

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