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2019.02.11

書評<エスタブリッシュメント 彼らはこうして富と権力を独占する>

貧富の格差の問題が問われて久しい。それもいわゆる先進国といわれる国家内でのことである。富める者と庶民との格差が広がり、一部の国では不満が爆発しつつある。そんな状況はイギリスもまた同じだ。もともと、強固な階級社会であったイギリスだが、サッチャー首相の改革以後、一般市民とエリート、エスタブリッシュメントとの間に格差が広がっている。国民投票でのEUからの離脱決定は、「とにかくエリートを困らせたい」との庶民の怒りの現れだともいわれる。イギリスのエスタブリッシュメントの実態を、著者が明かしていく。

本作で問われる「エスタブリッシュメント」は、たんに富裕層やエリート官僚のことではない。オックスフォードなど名門大学出身であり、、民間企業の取締役と、政府の要職を”回転ドア”のように行き来するいわばインナーサークルのようなものが存在するのだ。彼らは富裕層の税率や法人税減税をとなえて「小さな政府」を目指す一方で、いざ金融危機となれば、政府の補助金を支出させる。また、マスコミを支配し、彼らの都合の良いように世論を誘導する。陰謀論にも聞こえる「エスタブリッシュメント」の定義だが、著者は実際にエスタブリッシュメントの先兵たる企業家、政治家、マスコミに関わる人々にインタビューし、彼らの言い分とイギリス社会の実態を比較しながら、現代の国民国家の抱える問題を炙り出していく。

行き過ぎた資本主義、自由主義の反動として、トランプ大統領の登場、イタリアの右派政権誕生などの動きにつながっている。ポピュリズムとの指摘はあるが、庶民としては富裕層が痛い目にあうのを見たいのは自然な感情だと思う。オレもそうだ。これらの動きが世界の潮流の変わり目となるのか?しっかり見ていきたい。

初版2018/12 海と月社/ソフトカバー

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