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2019.04.29

書評<ネコ・かわいい殺し屋―生態系への影響を科学する>

ネコが愛玩動物としての地位を確立してすでに数千年が過ぎている。人類文明の発祥の地の1つ、紀元前のエジプトの壁画に登場するネコは、いまや世界中で愛されるペットとして君臨している。

しかしながら、増えすぎたイエネコは世界中で希少動物の地位を脅かす存在ともなっている。イエネコは古くからケージの中で飼われるのではなく、ネズミなどの害獣を狩る存在として、放し飼いにされてきた。さらに、心ない人がイエネコを捨てると、過酷な環境を生き残ったネコたちは容易に数を増やし、鳥類をはじめとした動物を狩る。特に一種の閉鎖空間であり、独自の生態系も保つ孤島にネコが放たれると、自然環境に大きなダメージを与えてしまう。本書はこうした、ハンターとしてのイエネコを論じ、いわゆるノネコになったネコにどう対処するかを論じている。

 

ネコは愛玩動物として、その飼い主以外にも多くの人に愛される動物である。飼い猫を捨てる言語道断な行為をする人間がいれば、過酷な環境を生き残り、ノネコとなった多くの猫たちの面倒を地域ネコとして面倒をみる人間もいる。人間の悪意と良識が、ノネコを増やし、鳥類の絶滅を招くことを、本書は指摘する。動物愛護の精神だけでは、ノネコの被害を防げない。イエネコは室内で飼い、不妊手術を含めたきちんとした面倒をみることの一方で、本書は過酷な手段を取ることもまた必要であることを主張している。

むろん、毒殺などの手段は、動物愛護の運動家ならずとも一般市民の苛烈な反応を招く。それでも、そうした手段をとらざるをえない時期にきているのだ。本書は主にアメリカの事例をひいているが、日本でも状況は同じだろう。イエネコはただ”可愛い”だけの存在ではないことを、我々はもっと自覚せねばなるまい。

 

初版2019/04    築地書館/ハードカバー

 

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