書評<星系出雲の兵站 4>
星系出雲の人類の宇宙開発の最前線である小惑星に攻撃を仕掛けてきた異星人、ガイナス。彼らの生態や思考のパターンが分からないながらも、降下猟兵連隊とそれを支える兵站部隊の活躍などにより、かろうじてガイナスを退けてきた人類だが、ガイナスの行動パターンの分析の結果、人類の居住惑星の1つへの直接攻撃の可能性が高いことが示唆された。星系出雲のコンソーシアム艦隊は、ガイナスとの戦争で初めて先制攻撃をかける決断を下す。
星系出雲を舞台とした、戦争SFが一部完結。軍隊組織と運営の複雑さ、それを支える産業基盤の重要性に着目し、兵站部門にこそ英雄級の活躍があることを描いた本作だが、スペースシップやASと呼ばれるパワードスーツでの戦闘も程よく織り込まれ、バランスの良い作品であった。第一部完結となる本作品では、異星人の正体の分析と、それに対する対応がメインとなり、兵站部門の描写は抑えられていると感じるが、第二部でそれは復活するのだろう。人類が次の探索の地に選んでいた星が、実は異星人の本拠地であったという絶妙な引きを残しているので、早く続きを読みたいものである。
初版2019/04 早川書房/kindle版
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