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2019.05.01

書評<監督の異常な愛情>

サッカーというスポーツにおいて、監督の役割は非常に大きい。ピッチにおいては自らのサッカーのビジョンを持ち、選手を配置し、戦術の指示し、ゲームを作る。ピッチ外においては選手のコンディションを見極め、メンタル面も管理してモチベーションを上げ、チームを作る。それはプロ、アマチュア、どのカテゴリーも同じだ。本書は田坂和昭、片野坂知宏、北野誠、高木琢也、吉武博文5人のJ2の監督に焦点をあて、厳しい状況におかれた監督たちのサッカーに対する”異常な愛情”の中身を追求していく。

 

日本のプロカテゴリー第2部であるJ2は上位から下位まで、事情が異なる様々なチームが所属する。それがピッチ上のサッカーに反映され、百花繚乱ともいえるプレーが展開される。世界のサッカーは既に予算規模が順位を決める時代になって久しいが、Jリーグの場合は監督の手腕次第で一発逆転も狙える状態だ。ゆえに監督の個性が発揮される。もちろん、監督のヴィジョンが100%反映されることはない。厳しい予算、衰退する地方都市の悲哀と折り合いをつけながら、監督たちはときに厳しい批判にさらされながら、それでもチームを勝たせようと必死で自分のチームを鍛え、相手チームを分析し、試合に臨む。ときには自分の監督としての能力に関係なく”火中の栗を拾う”状態になってもだ。本書はそんな厳しいJ2の世界を垣間見ることができる。

ネットやサッカー雑誌には世界のトップクラスの監督のビジョンが溢れているが、日本にも様々な監督が今日も葛藤している。あらためてそんなことを感じさせる1冊だ。

 

初版2018/07    内外出版社/kindle版

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