書評<齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 ~やだこの生贄、人の話を聞いてくれない~>
齢5000年になろうとする草食ドラゴンの元に、”生贄”を自称する少女が現れた。洞窟でおとなしく暮らしていたはずなのに、いつの間にか近隣の村々を中心に”蛇竜”認定されていたらしい。草食ドラゴンは生贄の少女に村に帰るように諭したが、なぜか納得しない。それどころか、適当についた嘘が、少女の”思い込み”がもともと少女が持っていた強大な魔力を呼び起こし、波乱を巻き起こす。人畜無害なドラゴンと、自分をドラゴンの眷属と疑わない少女の、魔王討伐の旅が始まる。
いわゆるファンタジーノベルだが、「重症の中二病患者の少女」というキャラ設定が成功しており、ユーモアが滅法面白い。暴走する少女をおじいちゃんが諫める、みたいなエピソードの連続が非常に微笑ましいのだ。いわゆるバトルもあるが、基本的には草食ドラゴンの苦悩を楽しむライトノベルである。思わぬ拾い物であった。
初版2018/02 角川書店/kindle版
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