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2019.10.21

書評<プロペラオペラ>

高度1200mあたりに第2の”海面”ともいうべき粒子帯が存在し、そこを”飛行艦”を飛ぶ世界。極東の島国、日之雄は大洋をはさんだ大国、ガメリアと戦争状態にあった。日之雄の第一皇女、イザヤは重雷装飛行駆逐艦<井吹>を率い、ガメリアの艦隊との戦いに従事していた。ガメリアの大艦隊が本国にせまる中、祖国から一族が追放された幼馴染、クロトが配属される。クロトの配属から、イザヤと<井吹>の物語が動き出す。

まず、舞台設定が秀逸。粒子帯の存在が空戦を制限し、戦闘の際に美しい背景を生み出し、ドラマを生み出す。昨今のラノベらしく、戦争と死を描きながらもコミカルな部分や”異能の才能”といった要素をうまく入れ込み、物語を進める。下敷きにあるのは太平洋戦争だが、”オペラ”というに相応しい恋愛模様と激しくも美しい戦争描写が描かれる。早く続きが読みたい逸品だ。

 

初版2019/09    小学館/ガガガ文庫

2019.10.20

書評<日本軍と軍用車両>

旧日本陸軍は主力戦車をはじめ、ハード面・ソフト面とも連合国に比べ、たいへん貧弱な状態で日中戦争以後の戦争を戦った印象は否めない。戦車が”ブリキ缶”だけだっただけでなく、輜重を担う輸送車両、すなわちトラックでさえ、数が揃わず馬匹や人力に頼っていたことを戦記を読めば見て取れる。それは、軍首脳部が戦場の実際を軽視した結果なのか?本書は日本陸軍の軍用車両のごく初期の開発時から終戦時に至るまでの実相を分析し、日本の自動車史ともいえる軍用車両の歴史を検討する。

 

欧州の自動車の歴史が、馬車の延長線上にあることは自動車に詳しい人なら誰もが知ることだ。そして、欧州は馬車を運用するため、都市部を中心に道路事情が日本とはまるで異なっていたことが、そもそも日本の国土自体の”自動車化”を遅らせたことをまず指摘せねばなるまい。明治以後の急速な工業化ととも発展した航空機・内燃機動力艦船・自動車という”三種の神器”の中で、自動車の発展が極端に遅れたのは、日本のインフラの発達具合そのものに要因があったのだ。それでも、日本陸軍は中国軍やロシア軍との交戦を経て、自動車会社の育成を含めた各種軍用車両の調達計画を立てていた。車両規格を統一した「標準車両」を量産しようとした。精神論だけを唱えていたわけではないのだ。

だが、それでも製鉄を含めた工業インフラの遅れ、民間需要の少なさによる自動車産業の発達の遅れなど、様々な要因により、結局は何もかも揃わぬまま戦争を始めてしまった。そして貧弱な生産体制が、戦況が悪くなるにつれて航空機に資源をとられていき、何もかも行き詰まったうえでの敗戦であった。個々の軍用車両の性能の低さや無能な軍上層部が敗戦を招いたのではなく、日本のインフラの発達そのものが機械化された戦争に追いついていなかった。本書を読むと、そうした当たり前の結論にしか思い至らないというのが正直な感想である。

 

初版2019/09    並木書房

2019.10.19

芦屋基地航空祭2019に行ってきた

台風19号の被害とラグビーワールドカップで世の中のふり幅が大きい中、10月13日に無事開催された令和元年度空自芦屋基地航空祭に行ってきました。

アーカイブ用に、写真と感想をまとめておきます。

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当日はモロに逆光で、台風が通過した直後で風が強く、雲も多め。なので写真は暗めなので、大幅に修正。去年もほぼ同じ日程のはずなんですが、そんなに逆光に苦しんだ覚えないんですよね。こちらの立ち位置の問題かなあ。

それはともかく、台風被災地近傍の百里基地からのRF-4E含めて、多数のゲスト機が飛来。特にRF-4Eは同日に3ミッションを別の機体でこなしていて、老兵は死んでいないと感じさせてくれました。T-4もフリート全体のエンジントラブルでデモフライトすら心配してたのですが、頼もしいところを見せてくれました。ただし、パイロット養成にたいへん影響があるようなので、早く通常のペースに戻ってほしいものです。

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