書評<プロペラオペラ>
高度1200mあたりに第2の”海面”ともいうべき粒子帯が存在し、そこを”飛行艦”を飛ぶ世界。極東の島国、日之雄は大洋をはさんだ大国、ガメリアと戦争状態にあった。日之雄の第一皇女、イザヤは重雷装飛行駆逐艦<井吹>を率い、ガメリアの艦隊との戦いに従事していた。ガメリアの大艦隊が本国にせまる中、祖国から一族が追放された幼馴染、クロトが配属される。クロトの配属から、イザヤと<井吹>の物語が動き出す。
まず、舞台設定が秀逸。粒子帯の存在が空戦を制限し、戦闘の際に美しい背景を生み出し、ドラマを生み出す。昨今のラノベらしく、戦争と死を描きながらもコミカルな部分や”異能の才能”といった要素をうまく入れ込み、物語を進める。下敷きにあるのは太平洋戦争だが、”オペラ”というに相応しい恋愛模様と激しくも美しい戦争描写が描かれる。早く続きが読みたい逸品だ。
初版2019/09 小学館/ガガガ文庫
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