書評<日本中世への招待>
中世の歴史好き、というクラスタのほとんどは、戦国時代や戦国武将を中心とした派手な合戦や政治的駆け引きを面白い、という人が多いだろう。自分もそうだ。しかし、当然ながら当時の庶民たちにも生活があり、現代とは少し違う形の家族、教育、生活があった。本書はそうした中世の”日常”を紹介する。
”中世の庶民の生活”にも歴史というものが当然ある。学校の日本史でしか学習したことがなく、ぼんやりとした知識しかない読者に、本書は日本の中世の世界観を教えてくれる。江戸時代に至るまでに、教育制度はどのような経緯をたどったのか?出産や葬式はどのように執り行われていたのか?旅行や娯楽はどのように行われていたのか?現在と同じ価値観と違う価値観が交錯する様は非常に興味深い。歴史の様々な面を知ることが出来る新書である。
初版2019/02 朝日新聞出版/朝日選書
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