書評<航空戦史 (航空戦から読み解く世界大戦史)>
初版2020/02 イカロス出版/ソフトカバー
例えば太平洋戦争末期の日本防空戦。B-29の本土空襲をまったく阻止できなかったとして、ボロクソに評価される日本の防空体制は本当に役立たずだったのか?例えば有名な”ノルマンディー上陸作戦”。以外にあまり注目されることのない、航空支援の貢献度はどんなものだったのか?いわゆる航空戦史の中でも、見落とされがちな戦いの実相を探っていく。
本書は著者が「歴史群像」誌で連載していた「航空戦史」をまとめたもの。本書では前半が日本陸軍航空隊の戦いと教訓、後半がヨーロッパ西部戦線の戦いと教訓にまとまられている。本書の特徴は前記したように、見逃されがちな航空戦を取りまとめていることだ。大雑把なイメージで語られがちな航空戦の中でも、意外な事実が潜んでいる。また、著者は技術的な事項にも精通しており、ゼロ戦を語るときに欠かせない伝説の一つ、”沈頭鋲”についても取り上げている。欧米が進んでいた面と、日本が進んでいた面と両方あることを取り上げた記事は、著者のフラットな視線ならではだ。雑誌連載をまとめたものなのでやや散文的だが、興味深い一冊である。
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