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2020.06.14

書評<ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々>

初版2020/051(原著1994)  早川書房/kindle版

高い感染率と致死率。あたかも人体を溶解させるかのような、凄惨な症状。史上まれに見る凶悪なウイルスであるエボラウイルス。アフリカ奥地に潜むエボラはときおりアフリカの都市部に現れ、人々を戦慄させていた。そのウイルスが今、医療実験用に輸入されたサルとともに、アメリカに上陸しようとしていた。エボラウイルスを巡る、戦慄のノンフィクション。

 

前半はエボラウイルスの悲惨極まえりない症例を精緻な筆致で記し、後半はそのエボラウイルスのアメリカ上陸を防ぐべく活動する、アメリカ陸軍伝染病医学研究所の戦いを描くノンフィクション。ノンフィクションとはいっても、登場人物がいつどこで感染するか分からないというホラー映画のような描写で、グイグイと読者を引き込む。後半は知られざる感染症対策部隊の戦いだ。ここでも通常の戦闘とはかけ離れた恐怖を描き、エボラウイルスの凶悪さが伝わる。原著は四半世紀前のベストセラーだが、新型コロナウイルス禍の今読むと、また別の感慨がある。それは感染対策の従事者たちの戦いだ。不便極まりない防護服を身にまとい、家族を巻き込むかも知れない”戦い”に出向く。そこにはミスもあれば、縄張り争いもある。原著を25年前に読んだときは、前半の”人体溶解”ともいえる症状に衝撃を受けて、後半の感染症拡大防止の部分はいまいち印象に残らなかったが、2020年の今は、本書の後半部分こそが著者の渾身のレポートだったと分かる。ただのホラーノベルの代替ではない、今読むべきノンフィクションである。

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