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2020.08.18

書評<熱血! “タイガー"のファントム物語>

初版2020/08 イカロス出版/ソフトカバー

令和2年度に空自のF-4EJファントムⅡが退役する。本書はそのファントムⅡを駆り、日本の空を守ってきたファントムライダーであり、後に分屯基地司令とTACの副司令 まで勤めた著者が、ファントムの飛行特性、訓練や実任務、あるいはパイロットたちの私生活まで、その経験を余すことなく綴ったものである。

令和2年度に退役する空自ファントムⅡ周辺が盛り上がっている。我々マニアはどうしても航空機、あるいは被写体としてのファントムⅡに感情移入してしまうが、もちろん主役はパイロットとそれを支える人たちである。
だが、空自の隊員さんたちの”生の声”はなかなか聞けない。基地祭などで触れるのはほんの一面だけだ。本書の著者は歴代の空自主力戦闘機のパイロットであり、また飛行隊長や基地司令を経験された方であり、空自のパイロットの生の声を存分に聞くことが出来る。
空自ではどのような教育課程を経て、パイロットになるのか?ファントムⅡをはじめとした歴代の主力戦闘機はどのような特徴があり、スクランブルをはじめとした実任務や訓練はどのように実施されているのか?そして、パイロットはどのような心構えのもと、日本の空を守っているのか?飛行隊長という現役パイロットでありながら管理職でもある立場で、著者が意識していたことは何か?誇り高きパイロットの本音が綴られる。
もちろん、お堅い話ばかりではない。著者が現職の時代は現在より”おおらかな”な時代であり、自衛隊員の家族も、基地周辺の住民もそれをよく支えた。我々がよく知るマンガ「ファントム無頼」は、まるっきりフィクションではなかったのだ(笑)。
その他、本書の那覇基地の警備犬のエピソードなどは涙なしでは読めない。厳しく、人情深く、破天荒で、緻密。矛盾の固まりのようなファイターパイロットの貴重な証言がまとまっている。

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