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2021.02.15

28年目の「パトレイバー theMovie2」

先日、「パトレイバー theMovie2」4DX版を見て、いろいろ昔のことを思い出した。
1993年に本作が公開されたとき、オレは名古屋の大学に通ってて、オーケストラに所属なんかしたりして、”キャンパスライフ”ってやつをエンジョイしていた。それまで大好きだったプラモやアニメといったオタク趣味に触れることはなくなりつつあった。

そんなある日、広島の実家に住む弟が名古屋に行くので、案内を頼むという連絡が来た。スターウォーズ関連のイベントがあるんだとか(弟もかなりのマニアだった)。イベント会場まで連れて行って、街の中心部に戻り、彼のイベントが終わるまで何か映画でも見るか...とコンビニで「ぴあ」をめくってみると(この行為自体がもう懐かしい)、「パトレイバー2」という文字が目に入った。オタク趣味から遠ざかっているけど、なぜか久々に見たい気になり、映画館に向かった。

映画館から出てきたとき、オレは衝撃を受けていた。。まず第一の感想が「あんなことしていいの?」だった。野明たちは大人になり(ピアスがその象徴に見えた)、主人公はいわば特車二課の小隊長二人。ストーリーもモノローグも重いし、パトレイバー出てこない。そして語られる「オレたちの戦争と平和」。基本的なストーリーはOVAの「二課の一番長い日」の焼き直しとはいえ、そこには押井守監督が様々な作品で繰り返し取り上げる”モニターの向こうの戦争”あるいは”すぐ近くにあるクーデター”といったモチーフの頂点があった。オレはこの日をきっかけにオタクに戻り、いわゆる押井守監督信者になった。

本作については、日本のアニメの歴史に残る作品でもあり、様々な評論家によって繰り返し語られてきた。その中で一番納得いかなかったのは、かの岡田斗司夫氏が語った「ラストシーンは中年男のファンタジー」という分析だった。その分析に触れた時はまだ自分は若く、「そんなもんか」としか思わなかった。

だが、公開から28年経ち、おじさんになった今なら分かる。オレは孤独死まっしぐらの独身中年だが、かつては結婚まで行きつきそうだった女性がいた。だが諸事情で自分から直前に破談にした。 彼女は結婚して幸せになったと遠いウワサで聞く。それでも、干支も4回り目になろうかという今でも、なんとなくもう一度会えば、「元に戻るかも」みたいな幻想を抱くことが数年に一回あるのだ。アホだと分かっていても。

公開から28年、中年男性にここまで昔話を語らせる映画もアニメもなかなか無いと思う。「パトレイバーtheMovie2」、やはり名作です。

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