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2021.10.29

書評<寝てもサメても 深層サメ学>

魚類の中でも、サメは古代からの特徴を残し、また多様な生態を持つ種としてと知られている。一般のイメージとしては「ジョーズ」ことホオジロザメが有名だが、その他にも興味深い生態を持つサメが多くいる。本書は沖縄のジンベイザメの長期飼育で知られる美ら島水族館に所属する著者を中心に、サメについての興味深い生態がまとめられた、一歩深い「サメの入門書」である。

ホームセンターにはサメのぬいぐるみが溢れ、サメ映画が続々と製作される現代だが、我々はサメのことをあまり知らない。本書は深海から浅海、大洋まで生息域が幅広いサメの興味深い生態を解き明かしていく。なかでも興味深いのは、その子孫の残し方だろう。同じ種の中で卵生と胎生のサメがいて、なおかつ胎生の中では哺乳類の胎盤に近い組織を持つもの、母乳に近い成分を子に提供するもの、幾匹かが母親のお腹の中で育ち、”共食い”をするもの。古代の生物の特徴も残すサメにあって、この多様性をどう解釈すればいいのか?生物としてのサメの奥深さを教えてくれる一冊である。

 

初版2021/05  産業編集センター/ソフトカバー

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