平成23年度決定F-Xの個人的総括
まだ防衛省から正式発表はされてませんが、各新聞紙の報道、わけても国営放送が内定というのであれば、F-4EJファントムⅡおじいちゃんの後継であるF-X(40機採用)はロッキード・マーティンF-35AライトニングⅡで決定なんでしょう。
今回のF-Xの候補であるユーロファイター・タイフーンおよびボーイングF-18E/Fスーパーホーネットと前記F-35Aはそれぞれに一長一短あり、ミリオタたちの恰好の議題となっていました。タイフーンは高い機動性能とライセンス生産を含む広範囲な情報開示という、防衛産業の裾野を含めれば、これまでのF-Xのように「ヨーロッパ製の機体は当て馬」という評価をくつがえした候補。スーパーホーネットは空自が求める要求性能の一部である、高速インターセプターとしての能力はやや劣るものの、多彩な搭載兵器と先進FCSでそれをカバーする無難な候補。F-35Aは高い低観測性をそなえ、AESA(先進アクティブ)レーダーとEOTS(光学観測システム)を組み合わせて高いSA(状況認識)をパイロットに提供し、ネットワークを駆使して戦闘を行うという、まさに新世代戦闘機なのですが、開発段階の機体の上、トラブル続きで価格高騰。計画中止はさすがにないでしょうが、2016年という配備予定に間に合うのかという問題を抱えます。
今回のF-X決定の初報を受けて個人的に印象的だったのは、Twitter上で我々シロウトのミリオタがF-35A決定にやや釈然としない意見が多かったのに対し、各専門誌で記事を執筆する評論家諸氏がほぼ肯定的な意見だったことでした。このことをつらつら考えるに、接している情報の深さに差があるのはもちろんとして、やはりコクピットシュミレーターに触れているかいないかが決定的な差を生んでいるのではないかと考えます。自機の電子・光学・赤外線センサーとAWACSその他とのリンクで得た情報を統合する”センサーフュージョン”、そしてそれを操作する先進コクピットは、なかなか本を読んで写真を見るだけでは実感できない、画期的なことなんでしょう。
それでもまだ、個人的には釈然としない。F-35Aのその先進性能と”専守防衛”に代表される政府や自衛隊の方針に合致しているのか?日本の防衛産業の行方は?F-35のこれまでの国際共同開発体制との兼ね合いは?次のF-Xは?まあ、一番の要因はちょっと太り気味のその機体に”かっこ良さ”が足りないということのような気もしますが。
ともかく、F-35Aの導入がただの「使用機材の更新」でないことは明らかでしょう。空自がF-35Aをどう使っていくのか、長い目で見守りましょう。
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