書評<サンフレッチェ情熱史>

2013年のJ1を制し、2連覇を達成したサンフレッチェ広島。だが、サンフレッチェは常に優勝を争う強豪ではなかったし、今後もそうなることはないだろう。予算はJ1所属チームの中で中位程度、強くなればなるほど、その中心選手を他チームに抜かれていく、地方チームの矛盾を常に抱えるチームであり、現にチーム創設から20年の間に、2度のJ2降格を経験している。そのチームがなぜJ1になんとか踏みとどまり、リーグ制覇を成すことができたのか?そこには著者をはじめとする”広島人”たちの情熱があった。本書はチーム情報誌を発刊するスポーツジャーナリストであるながらサポーター目線も併せ持つ著者が見た、サンフレッチェの20年史である。

著者はJリーグブームが去り、各チームが苦境に陥り始めたときからサンフレッチェを追い続け、チームのフロントや選手、またサポーターからも信頼の厚い人物である。本書は、挫折と苦難の日々を歩み続けたチームの中心人物たちを見続けた、著者の人生の物語ともいえる。その著者と、彼が見続けたチームには、常に情熱溢れる人物たちがいた。そもそも、彼がサンフレッチェ専属ともいえる立場になろうと決意したのは情熱溢れる2人の人物との出会いゆえだったし、その後もなんとかチームを支え続けようとする人たちが20年の時を繋いだ。著者はそうした人物たちが成した事、成しえなかったことを書くことにより、クラブの歴史の物語を紡ぐことに成功している、もちろん、情熱ですべてがうまくいけば、J2降格などあろうはずがない。予算という最大の障害をはじめとして、プロチームの維持は困難がつきまとう。かつてJ1に所属しながら、J2に”定着”してしまったチームも数多い。そうしたチームとサンフレッチェは何が違ったのか?本書はそれをおぼろげだが、描き出すことに成功している。広島とサンフレッチェを知る人ならば、読み終わる頃には目が潤むこと必死な本である。

初版2013/12 ソル・メディア/ソフトカバー

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書評<「食糧危機」をあおってはいけない>

昨年の小麦や油類の価格高騰をきっかけに、さかんに日本では”食糧危機”が叫ばれている。
食料自給率は40%、さらに海外での水資源の枯渇や穀物のバイオ燃料への転換などにより、食糧輸入自体が困難になっていくのではないかと危惧されている。
本書はそうした論調に対する反論である。まず世界の人口動態予測そのものに疑問を投げかけ、それに基づいた食糧需給予測を疑う。さらに、多くの食料需給予測は「経済が発展すると食生活が欧米化する」といったありがち誤解に基づいており、世界の様々な食文化や宗教的な禁忌を無視していることを指摘する。
さらに食糧生産についても、そもそも欧米やオーストラリアは”大ざっぱ”な農業であり、豊作あるいは凶作に一喜一憂すべきではなく、また食糧生産余力もまだまだあるとしている。
そして、食糧はそもそも余っており、世界が押し付けあっているのが現状であることを明かしている。昨今、WTOをはじめとした貿易自由化交渉ではそれぞれの国が自国の農業を守るために市場開放を拒否しており、このことだけでも本書の指摘が概ね正しいと判断できる。食糧を売りたい国で世界は溢れているのだ。

世界人口が爆発し始めた1970年代、中国が驚異的な発展を始めた1990年代に、同じように食糧危機が叫ばれたことを著者は指摘する。だが、世界はそれを”なんとなく”乗り越えてきた。人は忘れやすい生き物だという著者の指摘には、まったく同意で恥ずかしくなるばかりだ。


ただし、本書の論旨からまったく外れてしまうのがサハラ以南のアフリカである。アジアの発展途上国がどの国も差はあれどもGDPを向上させ、食糧生産率を向上させているのに対して、アフリカは今だ政情不安と貧困の真っただ中である。日本はともかく、この地域に対しては何らかの取り組みが必要であろう。

初版2009/03 文藝春秋/ソフトカバー

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サイレント・イーグル、キタ!

ボーイング社はF-15Eイーグルの新しい輸出向けバージョンとして、F-15SE SilentEagleを発表しました。インターナショナル・カスタマー向けとされていますが、実質ステルス能力を求める空自F-X向けでしょう。
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ミリオタのみなさん、魔改造イーグルがきましたよ!CFTにウェポンベイを新設、各種AAMの他、JDAM(GPS誘導爆弾)やSDB(小直径爆弾)を搭載できるとのこと。そして垂直尾翼を傾斜させて空力特性を改善、機体構造重量も軽減されている模様。もちろん、ステルス対策の意味もありそうですね。そしてこの垂直尾翼、「機動警察パトレイバーtheMovie2」に出てきた空自のイーグルのそれにそっくりなんですよ!押井守信者としては、うれしい限りです。こいつがF-Xに採用。さらに既存の三菱F-2が魔改造され
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F-2スーパー改になったとしたら・・・もうね、これほどある意味で”萌える空軍”もない(笑)。
まあ、実現は望み薄だろうなあ。

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海自護衛艦<ひゅうが>就役

海上自衛隊の新型ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の引き渡し式が18日、横浜市磯子区のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド横浜工場で開かれた。

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ニュース自体はめでたいことなんですが・・・以下、毎日新聞の同記事より抜粋。
「船首から船尾まで長く伸びた長い甲板を持つ「空母型」の形状が特徴」
いやいや、これぐらいで空母なんて言ってたら、中国様にバカにされちゃうぜ。ただの便利な全通甲板ですよ。

「周囲360°からのミサイル攻撃などに対応可能な国産の対空武器「FCS-3」も初めて装備した」
いやいや、FCS-3は多目的レーダーで、武器ではありませんよ。

相変わらず、正確な報道なことで。

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制御不能の偵察衛星にSM-3命中

アメリカ国防省は20日、制御不能になった偵察衛星を破壊するため、太平洋上のイージス艦から迎撃ミサイルSM-3を発射、命中させ、破壊に成功したと発表した。

はじめはヨタ話かと思っていたが、本当にやったのか。正直、MDはムダとはいわないが実用上のハードルは高いと思っていたけど、迎撃高度250kmとSM-3の150kmほどといわれていた推定到達高度を大きく上回っていることといい、準備にさほど時間がかからなかったことといい、予想以上のこちらの予想以上の性能を備えているのかもしれない。

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陸自TK-X、初公開!

防衛省は13日、平成22年度からの装備化を目指し国産開発中の陸上自衛隊の新型戦車(試作車両)を、神奈川県相模原市にある同省の研究施設で報道陣に公開した。
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(画像はMSNニュースより)
レオポルド2A5のショト装甲っぽい正面装甲、ルクレールのモジュール装甲っぽい側面装甲、チャレンジャー2のRPG防御スカートっぽい車体側面装甲と、まさに外見はいいとこ取りです。90式戦車で度々指摘されていた車長用の視察サイトは360°の視界が確保されており、押さえるところはちゃんと押さえています。これで戦場情報共有システム積んで7億円、量産効果でもう少し値段が下がるとしたら、カタログスペック上は非常にバランスの取れた戦車で、まさにお買い得。P-Xといい、国産兵器は価格破壊が起きちゃってます。何があったんだろ?
ただ、重量は44tで、目標の40tには届かず。防御に妥協しないとなると、このへんが限界、なんだろうな。
とりあえずタミヤは配備と同時にモデル化することが義務です。

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キティホーク、室蘭港に入港

10月の26日~30日まで、アメリカ海軍空母<キティホーク>が室蘭港に入港する。26日・27日は一般公開も実施。実施主体は室蘭商工会議所となる。

土曜日は東京出張で深夜帰宅だし、室蘭は遠いなあ。おまけに遠い駐車場からバスでピストン輸送みたいだし。せめて苫小牧ぐらいにしてくれたらなあ。うーん、”出動”は微妙だ。

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先進技術実証機、スケールモデルでフライトテスト

防衛省技術研究本部が開発を進めている先進技術実証機<心神>のスケールモデルが1日、十勝管内大樹町の多目的航空公園で報道陣に初めて公開された。

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目視観測とかなんとかいろいろあるんだろうけど、ステルスを名乗るからにはもう少しインパクトのある塗装でもいいと思うのだが。F-2のころからカラーリングにまったく工夫がない。
それとそのコクピット後方の膨らみははどーなんだろう。モックアップのときは「予算切り詰めのためF-1から流用」というのを知って涙滴形キャノピーでないのを納得したのだが、スケールモデルでも形は一緒ということは、しばらくはこのまま行くのだろうか。
まあいろいろと疑問はあるが、ラプたん獲得のためのカードとしても有効なので、がんばってフルスケールの実証機製作まで進んでほしいところ。スケールモデルでも、ノズルのパドル使ってポスト・ストール・マニューバできるのかな?それなら航空公園で張り込んでみる価値もあるかも、と思うのだが。


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P-X初飛行

国産の次期対潜哨戒機、川崎製のP-Xが初飛行に成功した。

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(画像貼り替えました)

リベットの不良などでスケジュールが遅延していたP-Xが初飛行。まずは一安心。機体、ターボファンエンジン、アビニオクス、ASW機器すべてが国産で今後も不具合もいろいろ出てくるだろうが、就役にむけて事故がないようにまずは祈りたい。

ここからは妄想。アメリカ海軍はP-8を開発遅延によりキャンセル、日本は武器輸出規制を解除してP-Xをアメリカに輸出(もしくはライセンス生産)、生産機倍増により単価低下。技術導入のバーターでラプたんを導入・・・とかなんねえかなー。

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防衛省、F-15改修に1000億円要求へ

自衛隊関係のニュースを個人用にメモ。

衛省、F-15改修に1000億円要求へ
防衛省は21日、F-15の戦闘能力を高める大規模な改修作業費を2008年度予算の概算要求に盛り込む方針を固めた。これまでの改修実績の4倍にあたる32機分の改修を予定し、約1000億円を要求する。
遅々として進まなかったF-15J-J-MSIP(多段階改良計画)の量産改修を、皮肉にもF-Xの選定難航が押し進めた感じ。新鋭機獲得よりもまずAAM-4の運用によるBVR(視界外)戦闘能力の向上が何より先決だと思っていたので、この判断は正解だと思う。
問題はセントラルコンピュータその他の関係で改修できないF-15J-PreMSIPの方。ますます同じF-15Jでも能力が開くばっかりなんだよね。なんとか有効活用できないものかね。

海自初のヘリ空母「ひゅうが」進水、高度通信機能を装備
海上自衛隊の新しいヘリコプター搭載護衛艦の命名・進水式が23日、横浜市磯子区のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド横浜工場で行われ、名前は「ひゅうが」と発表された。
海自が待ち望んだ全通甲板を持つヘリ空母が来年、就役する。さらにこの艦は国産のフェイズド・アレイ・レーダーであるFCS-3を搭載、まさに新世代の護衛艦となる。
一部で話題になった命名だが、みんな?が待ち望む旧軍の空母名にはならず、航空戦艦の名を受け継ぐことに。まあ、AAMも積んでるし妥当、なのかも。次は当然いせだとして、さらに次はながと、となるか。

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