書評<漂流>

冒険家である著者は、編集者からの提案により、過去の漂流事故について調査を始めた。そこで1994年、救命筏で37日間の漂流を生き延びた生還者の事故に出会う。取材を始めようと生還者に連絡を取ろうとしたところ、なんと生還者は再び漁に出た後、行方不明だというのだ。彼を中心に沖縄の離島の漁師の生き様を取材していくうち、知られざる遠洋漁業の栄枯盛衰に触れることとなる。

「奇跡の生還」といわれた漂流事故を扱ったノンフィクション。著者は漂流者の経歴を追うが、それは伊良部島の佐良浜という漁師たちの集落の歴史と、南方遠洋漁業の歴史を追うことにもなった。沖縄本島を中心とした、凄惨な戦争の後、漁師たちはどのような歴史を紡いでいったのか?なかでも巨万の富をもたらした、南方遠洋漁業とはどのようなものだったのか?遠洋漁業の中心にいた、佐良浜の男たちとはどのような人間たちだったのか?事故そのものと合わせて、漁業の歴史も紐解いていく、重厚なノンフィクションであり、本土でのほほんと生きている日本人とはまるで別世界の人生に、どんどんと引き込まれていく。著者の長期間にわたる取材の賜物であり、また著者の冒険家という経歴と、漂流民たる漁師たちと生き方がシンクロしたために書くことが出来た日本の漁業の歴史の一部である。

初版2016/08 講談社/ハードカバー

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画<TNGパトレイバー 首都決戦!>を見てきた

ちょっと前になりますが、<TNGパトレイバー 首都決戦!>を地元シネコンの見てきた。ネタバレありで感想をメモ。


当方、押井守信者でありますが、かつてのパトレイバーの原案者集団である、ヘッドギアの方々のTNGパトレイバーへの微妙な反応を見るにつけ、この劇場版の前のシリーズに関しては、距離を取っておりました。ゆうきまさみ氏も、伊藤和典氏も大好きなのです。しかしながら、劇場版は少なくとも押井守カントクのファンからの評価は高いので、思い切って劇場に足を運びました。

舞台は”柘植の反乱”の14年後。かつての柘植のシンパが、陸自の最新鋭ヘリを奪取し、ベイブリッジへテロを仕掛けるところから物語は始まります。後はほぼアニメ版の「劇場版パトレイバー2」のストーリーをなぞっていきます。

CGと実写の合成は予想よりもショボくなく、しっかりとアクションの見せ場もあり、近年の押井守監督作品の過剰なまでの”映画感”へのこだわりは薄れた作品であることが第一印象です。犯人であるテログループ側の論理の描写はまったくなく、カントクの作品独特の街の風景を回しながらの独白は短め(このへんはディレクターズ・カットがあるそうなので…)であることが、テンポの良さにつながっています。それでいて、南雲さんが声のみで出演と、パト2のファンの心を震わせる場面も用意してあり、総じて、エンターテイメントとしてバランスの良さを感じました。
しかしながら、世間の評判は非常に芳しくないようです。いわくパト2の焼き直しであり、リメイクともいえない、と。それらのことは重々承知ですが、押井守信者としては、これこそが押井守の作りたかったパト2であり、ケリをつけたかったのだろうな、と監督の心中を察して擁護せざるをえないのです。虚構と現実を行き交う世界こそが押井守のテーマであり、明確な犯罪や思想テロとの戦いであったアニメのパトレイバー劇場版こそ、押井守監督としては妥協あるいは他のクリエイターたちと折り合いをつけた作品だと思うのです。製作環境として、そうせざるをえなかったのでしょう。それがヒットし、評価されたことは大いなる皮肉ですが。そういう意味で、本作のラストシーンこそが、ヘッドギアではなく、映画監督押井守がやりたかったラストシーンなのでしょう。
当たり前ですが、事前知識や思い入れによって印象が大きく変わるのが映画というものです。自分の押井守監督と榊原良子女史への思い入れが、映画を見る目を曇らせているかもしれません。それでも、久しぶりに2回目を見に行こう、と思った映画であることは確かなのです。
願わくば、押井守監督と、ヘッドギアの面々との和解が成らんことを。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

書評<カニの不思議>

カニは海辺に住んでいる身近な生物であり、多くの民族にとっては御馳走でもある。、そして淡水から海水まで、海辺から深海まで、生息範囲が広く、そこに住むカニたちそれぞれに多くの特徴を持った生物である。本書はカニの基本的な形態の説明から生活リズム、交尾など生物学的特徴から、漁法や料理法を含めた人類との関わりまで、カニを総合的に説明する。

カニも知れば知るほど不思議な生物だ、とつくづく感じさせる一冊である。本書は意外と知られていない脱皮や幼生段階のカニ生態などを丁寧に説明する一方で、人間との関わりにも多くのページを割いている。読み進むと、極限環境である深海の熱水噴出孔から、そこらへんの海辺まで広く存在し、形態も大きさもそれぞれのカニが特徴を保ちながら暮らしているカニの特徴をしっかりと掴むことができる。
どこにでもウジャウジャいるイメージのあるカニだが、人類の食料資源となっている種類のカニは、絶滅の危機に瀕しているのもまた事実である。欧米では多くの漁業制限がかかっており、資源再生に取り組んでいる。それに比べて日本近海では…という気持ちにならざるをえないのが事実である。水産庁には本書を読んで猛省していただきたい。

初版2015/01 青土社/ハードカバー

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画<アメリカン・スナイパー>を見てきた

クリント・イーストウッド監督作品「アメリカン・スナイパー」を見てきました。

映画の舞台はイラク戦争。主人公であるSEALS所属のクリス・カイルは、優秀な狙撃隊員として4度もイラクに遠征。その間、180人以上の敵を倒し、狙撃距離1.9㎞の射撃を成功させる伝説な男。一方で、家庭ではよき夫であろうとする、その両面を本作は描きます。

全体的には、イラクのテロリストたちとの激しい戦争を描きながら、主人公は過剰にヒーロー然としているわけではなく、アメリカに戻って家族と過ごすわずかな時も過剰な感情のぶつかりはなく、非常に乾いた映画だという印象が残りました。
しかしながら、多くのことが示唆されていることもまた確かです。同じようにイラクに派遣された弟は精神的に疲弊し、一緒に戦ってきた仲間も、戦争に対して疑問を感じながら、戦死していく。主人公は取り残されたように感じながらもなお、国家のために戦います。長く不毛な戦いを残すものが何か?見る者に問う感触は、人によっては反戦映画と感じるでしょう。
一方で、少年時代に狩猟で射撃を覚え、自分も息子に狩猟で射撃を教えるシーンは、銃という武器で家族と国家を守る「アメリカン・スナイパー」の主題そのものと感じます。「人間は3種類いる。羊、狼、牧羊犬だ」というクリスの父親の言葉は、アメリカの価値観の一つといえます。本作のラスト、道々で人々が国旗を打ち振るカイルの葬送シーンもまた、アメリカの変わらない価値観の現れでしょう。
ミリオタ的な視点だと、4度の派遣の間に主人公たちが使うライフル、あるいは乗り込む車両の変遷が、イラクが長期間にわたり犠牲を重ねた戦場であることを感じさせます。クリスの1回目の派遣では手作りの装甲をまとったハンビーが走っていたものが、4回目の派遣では無人機プレデターが画面に登場します。このことが、戦争というものが変質させたイラク戦争を象徴しています。また、イラク戦争というと民間人の犠牲が強調されがちですが、女性や子供を欺瞞に使うテロリストたちのえげつなさを描き、困難な戦争であったことを掴むことができます。

ベトナム戦争では帰国した兵士が歓迎されず、「ランボー」のような主人公と映画を生みました。現在、アメリカは中東の戦場から帰国した兵士に罵声を浴びせるような国ではなくなりましたが、「実戦で変質する兵士の精神」いう面は決して変わらないのでしょう。乾いた演出でありながら、多くのことを示唆する、素晴らしい映画でした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画「RUSH」を見てきた

映画「RUSH」を見てきた。郊外シネコンのレイトショー、お客は少なめ。

ときは1970年代。舞台はあたりまえのように、毎年ドライバーの死亡事故が起きていた時代のF1。そのチャンピオンシップを争う、2人のライバルがいた。本能のままに走り、私生活も自由に享楽的に生きる、人々が想像するスーパースターの姿そのもののジェームス・ハント。緻密なセットアップで、速さを論理的に追求するニキ・ラウダ。対照的な2人が1976年のランキングを争っていたが、雨のニュルブルクリンクでラウダがクラッシュ、重度の火傷を中心とした重傷を追う。その年のチャンプはハントに決まりかと思われたが、ラウダが奇跡の復活を果たす。舞台は豪雨の最終戦、富士。果たして決着はいかに?

長いF1の歴史の中でも、屈指のライバルとして語り継がれてきた2人のチャンピオン争いを、エンターテイメントの名手であるロン・ハワード監督が映画化。まだマシンとして荒削りな1970年代のF1マシンを迫力ある姿で描きながら、なおかつ2人の対照的な人物を描き切り、熱過ぎる映画となって完成している。
映像的には生々しいエンジンの鼓動と、血の赤に染まっているように見えるラウダのフェラーリの迫力が凄まじい。CGを使えばなんでも出来る時代にあって、あえてアングルを絞ることにより、当時のレースを見ている気分にさせる。当時のサーキットの看板、オフィシャルカーなど背景にも抜かりはない。レースシーンはドライバーの主観でも描かれるが、ラウダの復帰レースで、それまでボケていたラウダの視界が、ドンと焦点が合うシーンは燃えるやら、感動するやらで大変だ。
人物描写も見事。享楽的なスーパースターだが、ゆえに苦悩も抱えるハント。緻密な頭脳を駆使して走るラウダは現在のF1パイロットたちに通じるが、その秘める熱い思いはハントにひけをとらない。対照的な2人が最後まで分かりあうことはないが、「宿敵の存在を神の仕業だと思え」というラウダの言葉に象徴されるとおり、お互いがいなければ、2人のチャンプは生まれなかったかもしれない。
ロン・ハワードの作る”安心のエンターテイメント”でありながら、今どきのハリウッド映画にありがちな作り物くささが抜けた、とにかく熱い映画に仕上がってる。必見の作品です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画「パシフィック・リム」を見てきた

昨日、上映開始時間を12時間間違えるという恥ずかしいミスをしてしまったが、あらためて「パシフィック・リム」を見てきた。3Dの日本語吹き替え版。午前中開始・お盆最終日ということもあってお客の出足は厳しい。ストーリーはこんな感じ。

海底空間に開いた異次元との回廊から現れるKAIJU(怪獣)に対し、人類はイェーガーと呼ばれる巨大ロボットを開発して対抗していた。だが現れるKAIJUは徐々にイェーガーに対抗する方法を学び、イェーガーは苦戦を強いられるようになったため、人類は巨大な壁を都市に築く方法を選ぶ。だが、その壁すら突破されるようになったため、人類は最後の希望を再びイェーガーに託す。

KAIJUを敵役に持ってきていることからも分かるとおり、日本の特撮・アニメ・SFに大きく影響を受けた作品。監督もかなりのオタクらしい。ストーリー短くまとめて書いていても、13話くらいでアニメにしたら良かったのに、と思うくらいに日本的作品(笑)。Twitterあたりで大絶賛なので見に行ったので、かなり身構えていたのだが、素直に感情移入できる、素晴らしいCGIと燃える展開だった。バカ映画といえばバカ映画なのだが、それがイイ。自分は特撮の知識がないのであまり指摘できないが、オマージュ的なシーンもかなりあったのだろう。ロボアニメへのオマージュはもちろん分かりました(笑)。
それと自分が特に感じたのは、「アポロ13」にもかなり影響されているのでは、ということ。パイロットたちが現場で戦うシーンと同時にバックアップの管制センターも緊迫感を増す舞台として重要な役割を担っていて、そのさらにバックには科学者たちが悪戦苦闘している構成で、ドラマを厚くしている。特にラストシーンあたりのドラマワークはその印象が強い。そういった正統派ハリウッド映画と、日本の生み出した特撮・オタクガジェットをうまく結びついた作品だった。

Twitterで真偽不明ながら「この映画は日本人声優の吹き替えをかぶせて完成される」というコメントを残したアメリカ人オタクがいたというので吹き替えにしたのだが、確かにそうだった。やはり林原めぐみはイイ(笑)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画「ゼロ・ダーク・サーティ」を見てきた

9.11同時多発テロの首謀者であるビン・ラディン殺害作戦の”真実”にせまったとされる映画「ゼロ・ダーク・サーティ」を見てきました。以下、ネタバレありで感想を。

自分も、COMBAT MAGAZINEに掲載されていた、4つ目のナイトビジョンを装着したSEALS隊員のグラビアのインパクトに負けて映画館に足を運んだクチですが、実際には徹頭徹尾、CIAのビン・ラディン捜索作戦を描いた映画です。
映画全体の印象は”フラット”であること。CIAの女性アナリストを主人公に据えていますが、ヒロイン然としているわけではない。彼女は同僚の爆死をきっかけに、上司にすら強烈なプレッシャーをかける執念の追跡を続行するわけですが、彼女に感情移入させるような意図的なカットはさほどありません。それに彼女は確かに優秀ですが、拷問、買収、電子的諜報手段などで得た情報を繋ぎ合わせるアナリストに過ぎないのです。彼女の所属するCIAという組織も、その諜報能力を過剰に強調するわけでもなく、腰の重い官僚的組織であることをことさら批判するわけでもない。映画らしいカタルシスを感じさせる”演出”が非常に抑えられていながらも、152分という長い上映時間を退屈させず緊張感を保つ、不思議なバランスの映画です。
それはビン・ラディン追跡の最終章である”オペレーション・ネプチューン・スピア”、ビン・ラディンの邸宅突入の場面も同じ。SEALSの隊員は唯一、ステレオタイプな人物に描かれていますが、作戦はことさらスピーディに進むわけでもなく、完全な秘密作戦でもなかった”真実”が描かれています。
そういう意味で、アカデミー各賞にノミネートされていながら獲得なしなのも納得できます。例えば、問題になった拷問に関しても残酷な描写がありますが、彼女がビン・ラディンにせまるきっかけとなる情報を獲った手段でもあるわけで、否定的でもあり肯定的でもある。政治的な立ち位置がはっきりしないため、扱いが難しいのでしょう。
いろいろ書き連ねてきましたが、見る価値のある、退屈しない映画であることは確かです。良質なドキュメンタリーを見た後に感じる感情と似てる気がします。

最後に個人的に気になることを2点ほど。CIA長官だけやたら乱暴な言葉の日本語字幕がついているのですが、粗野な喋りで有名な人だったのでしょうか?それと、墜落した例のステルス・ヘリを爆破しようとSEAL隊員が機体によじ登ったあげく、ヘリの外板を足でぶち抜いてコケるシーンがあるのですが、ステルス・ヘリが本格的な特殊部隊専用機ではなく、一時的にステルス性能を保持するためにでっち上げたハリボテに近い機体であることを示唆しようとしているのでしょうか?なんかこういう感じで、いろいろと伏線が隠されている気もする映画です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

書評<宇宙創成>

宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

現在、我々は地球が太陽の軌道を周回し、太陽は天の川銀河の辺境に位置し、天の川銀河を含めた宇宙がビッグバンによって生まれたことを常識としている。だが、この科学的見地にたどり着くのに、多くの時間が費やされた。物理理論をうちたて、それを観測によって検証する。天球が運動していることに人類が気づいて以降、その繰り返しによって今日、前述した理論に行きついた。本書はコペルニクスの時代に遡り、ビッグバン理論にたどり着いた宇宙論の歴史を辿る。

天文学の基本は軌道計算だ。それは物理学であり、幾何学である。そして”天球の回転(byコペルニクス)”から恒星の成り立ちまで、広く宇宙を理解しようとすると、多分野の物理学の知識が必要となる。本書は宇宙の謎を解こうとした物理学者の”戦い”を中心に記述し、数式を最低限に抑え、たとえ話を多用することによって宇宙論を解説していく。なので数学な苦手な自分でも、物理学を多少なりとも理解しながら、過去どのように研究が進んできたかを知ることができる。「E=mc²」を多少なりとも理解した気になったのはこの本がはじめてです、ハイ。
もう一つ本書で特筆すべきなのが、個性あふれる物理学者たちのエピソードである。気難し屋、目立ちたがり屋、求道者・・・見下していた化学者に妻を寝取られ「闘牛士ならともかく、化学者とは・・・」とつぶやいた学者、自分の屋敷のメイドたちを観測記録の分析係に転職させた学者(しかも彼女たちは優秀な天文学者となる)などなど。
理論と人間くさいエピソードが交錯する、魅力的なビッグバン宇宙論の歴史書だ。

初版2008/01 新潮社/新潮文庫

| | Comments (0) | TrackBack (0)

BSアニメ夜話<攻殻機動隊SAC>公開収録に行ってきた

収録内容は書いてほしくないが告知はして欲しい、とのことでしたので、あえて表ブログで日記。

札幌のサンプラザホールで行われたBSアニメ夜話<攻殻機動隊SAC>公開収録に行ってきました。ゲストは岡田斗司夫、宮台真司、松嶋初音、後藤隆幸(作画監督)、田中敦子(声優)。放送日は2/26(木)の深夜0時より。印象に残ったことを箇条書きで。

○公開収録参加者はどうせオレのようなオタクだらけだろう、と思ったら予想外に女性が多い。客席の周囲の反応から察するに、素子役の田中さんの女性ファンが多いらしい。舞台登場の拍手も一番大きかった。確かに、スゲーかっこいい大人の女性でした。
○NHKのアナウンサーはやたらブログやmixiの評判が気になるらしい。だからと言って褒めるわけではないが、”客席の回し方”も含めて、非常に匠の技を見せてもらった感じ。笑いもちゃんととっていくのね。
○加藤夏希ちゃんはやっぱスゲーキレイで、しかも、いい子っぽい。騙されてるか?(笑)。
○岡田斗司夫は、テレビで見る以上に実物は年食ってる(笑)。だが言うことはやっぱり的確なんだよなあ。

これ以上は内容に関わるので書きませんが、2時間半の収録があっという間の時間でした。オンエアでどんなとこが切られるのか、楽しみです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画<空へ ~救いの翼~>を見てきた

映画<空へ ~救いの翼~>を見てきた。札幌の上映館はファクトリーのユナイテッドシネマ。

舞台は空自小松ABの救難隊。新米女性パイロット・川島遥風(はるか)は母が空自救難隊に搬送された経験を持つ。彼女は要救助者を救えなかったミッション、救ったはずの命が消えてしまうなどの挫折を経験しながら成長していく。同じ救難隊のF転(ファイターパイロットからの転換)パイロット、整備隊の女性整備士もまた、それぞれに挫折を経験しながらも、ともに励ましあいながら、困難な任務に就く。


以下、ネタバレありで感想を。
先行するコミック版、アニメ版に続く実写映画。オープニングで雷雨の中、山の影からKV-107が現れるシーンからワタシはもう泣いてました(笑)。これぞ空自救難隊、というシーンから始まるストーリーはコミックやアニメのいいとこ取りで、救難隊の苦悩や挫折を整備隊含めて描く堅実なつくりです。やや人物の掘り下げに難ありですが、時間的にしょうがないのか。もう1つ、伏線というかドラマの盛り上げ方にもうちょっと工夫があっても良かったかも。クライマックスは護衛艦<はるさめ>への着艦なのですが、たぶん素人さんにはその困難さが伝わってないのはないかと。前半に狭い突堤にUH-60を着陸させるシーンがあるんですが、その辺でもうちょっと救難隊のヘリの操縦の巧みさを演出していたら、もうちょっとクライマックスらしかったんですが。
映像的にはCGはごく少なく、迫力あるUH-60を見ることができます。ハリウッドの凝ったCGに慣れていると、かえって新鮮。FLIRの画像とか、海上に投下するマーカーなど、貴重なシーンもいろいろ登場。さらにSH-60Kも登場し、まあ自衛隊の協力も気合いが入ってます。

総じて堅実な映画なのですが、なぜか”自衛隊広報映像”ぽく見える。どうしてだろうと考えると、BGMが古風というか大袈裟なんですね。ニコ動やYoutubeにアップされてるプロモーション映像にどうしてもカブる(笑)。ともかく、見て損はない映画です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧